瀬戸窯めぐり snap#4

飛鳥窯さんには石炭窯の煙突が残っている。
昭和30年~40年頃まで瀬戸には大小さまざまな石炭窯の煙突が町中に乱立していて
煙突から出る煙で空がいつも真っ黒に染まっていたという。
瀬戸の往時の隆盛を偲ばせる遺産。
今はここを含めて数えるほどしか残っていない。
飛鳥窯さんはたしか織部焼きの茶器や
陶製雛人形などをつくっていらっしゃったと思うのだけど
この窯めぐりのイベントの日は、焼き物の販売はせず
若いクリエーターたちに場所を貸していた。
一杯ずつ淹れてくれるコーヒー。手作りのお菓子。
ステンドグラス作家さんの即売…など。
お客さんも若い人たちが多くてにぎわっていた。

石炭窯の煙突の近くに
見慣れない黄色の実をつけた大きな古い木があって
「これなんの木だろう?」って言いながらこの写真を撮ってたら
中から飛鳥窯の大将が孫を抱いて出てきた。
「それウメモドキ。飾るにええで持ってきゃあ。今枝落といたげるで」
名古屋弁とは少し違う独特のゆったりした瀬戸弁。
立派な枝だし、申し訳ないので…と遠慮する私に構わず
「ええでええで」と高枝切り鋏をわざわざ出してきてくれた。
さらには「よかったら柿もちょうど熟んどるで持ってくにいいよ。小粒だけど甘いで」
と庭にたわわになった柿までくれた。

瀬戸の人は他所から来た人に最初はちょっと素っ気なさそうに見える。
でも何かきっかけがあれば、みんなとことん親切でやさしい。人情に厚くてあったかい。

たくさん持って行けと言われたけれど、
あんまりたくさんもらっても申し訳ないので
一緒に窯めぐりをしていたKEI氏の家族分と、私の分とをいただいて。
ちょっと強引だけどでもあったかなおもてなし。
どんなおみやげよりうれしい。
やっぱり瀬戸っていいとこだなあ、瀬戸の人っていいなあ、
じんわりかみしめながら飛鳥窯を後にした。

帰って早速ウメモドキと枝を長めに切ってもらった柿を一緒に生けた。
そして翌朝。
大将が「飾るにええで」と言った本当の意味が分かった。

たった一晩で全部の実が割れて、黄色い殻の中からきれいな朱色の実が顔を出したのだ。
柿とウメモドキの赤い実で、部屋は一気に秋色になった。
camera: Nikon D5000 + VEB Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 *degi
赤津編はさらにつづく。(かもしんない)
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